校閲のお仕事でもっとも間違ってはいけない項目の一つが企業名。
もちろん個人名も数値もすべて大切な要素なのですが、今日は会社の看板である企業名についてのこぼれ話です。
会社名が入る文章には、「株式会社」「合同会社」など形態の掲載の有無、入れる場合には㈱などの略号を使うのかどうかなど、その媒体により統一表記の決まりを設けていたりします。単発の記事やチラシの場合など決まりがない場合も、一つの文章の中で統一されていなければカッコ悪いものです。
会社名には経営者の方の思いが詰まっているもの。「・」で区切るか全角スペース、半角スペースか。大文字か小文字か。毎日のようにニュースで話題のアマゾンはロゴは「amazon」ですが、公式サイトには「Amazon」「amazon.co.jp」「アマゾンジャパン」など複数の表記があり、法人についての話か、サービスについての話かにより表記が分かれる場合もあります。
外資系企業の場合、ホームページに日本語表記が掲載されていない場合もあで、その場合は英字表記とすることもあります。また、最近増えてきたGoogleやAppleなどの会社形態は「合同会社」で、略は(合)ではなく(同)であること、ご存知でしたでしょうか。
一般財団法人、一般社団法人、公益財団法人、公益社団法人の略はそれぞれ(一財)、(一社)、(公財)、(公社)。NPO法人は特定非営利活動法人なので(特非)になります。
20年前の電車の中には、雑誌やフリーペーパー、文庫本をめくる人がたくさんいましたが、今では8割がたスマホのスクロールやゲームに忙しいといったところ。読書をする人は減ったかもしれませんが、日々文字に目を通す人は増えている可能性があります。
ウェブで大量の記事が毎日アップされる今日、簡単な漢字の誤記や助詞の抜けを目にすることも多くなりました。
昔中学受験勉強で「完璧」の「ぺき」の感じの下側は王ではなく玉と教わりました。また「専門は点口なし」と覚えなさいと、「専」の字の右上に点がつかないこと、「門」は「問」ではないことを覚えるのが大切でした。スマホやPCでの変換が日常となった今、間違えやすいところは別の個所にあります。「形態」と打ちたかったのに、「携帯」になってしまったり。手書きではあり得ない同音異義語に要注意です。次回は誤変換をテーマにお届けいたします。